2018年01月10日

【特別編】メッセージリレー 第11回 寺岡清高さん

「ロマン派のピアノ協奏曲」で指揮を務めていただく寺岡清高さんから、協奏曲の聴きどころを解説していただきました。
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演奏会のプログラムに協奏曲を一曲入れると、コンサート全体が華やかになるので、指揮者としてプログラミングをする時には、ソリストの有無は必ず考慮します。とりわけピアノは、音響的にも見た目にも最も華やかな楽器ですが、今回はなんとソリスト三人によるピアノ協奏曲の聴きくらべという、非常に贅沢な演奏会です。

シューマンは、室内楽的かつ細かな和声付けに特徴のある作曲家です。ピアノ協奏曲では第2楽章にそうした個性がよく現れています。反対に、元々独立した曲として構想された第1楽章は、劇的で非常に変化に富んでいます。第2楽章から華やかな第3楽章へは、第1楽章の主題を利用して、切れ目なく演奏されます。途中二度出てくるヘミオラ(二小節で大きな三拍子が一つ入るリズム)以降の部分は、指揮者泣かせで有名な部分で、一切気が抜けません。

初めてウィーンを訪れたショパンは、自作のピアノ協奏曲の必要性を痛感したようで、故郷のポーランドに戻ると早速、短期間に二曲の協奏曲を完成させて、再びウィーンを訪れます。とりわけ規模の大きい1番は、若きショパンの気概というか気合いを感じます。指揮科の学生時代、授業で第2楽章の伴奏の難しさを散々教わった思い出があります。

上記二曲に比べて、格段に短いのがリストの協奏曲です。しかも四つの楽章が有機的に繋がって切れ目なく演奏されるので、聴感上はさらに短く感じるかも知れません。リストは交響詩の始祖ですが、曲全体を統一するために共通の主題を各部に使う循環形式を確立しました。この協奏曲ではその循環形式に加え、第2楽章から全曲の終わりに向けて、徐々に加速していくように設計されているため、手に汗握る抜群の演奏効果があります。第3楽章で活躍することから「トライアングル協奏曲」という渾名も。

以上三曲の個性の異なる協奏曲に、これまた三様のソリストによる共演。オーケストラと指揮者は同じでも、ソリストに感化されてそれぞれ異なる響きになるはずです。どうぞお楽しみ下さい。
posted by subaruhall at 15:38| Comment(0) | 日記