2017年12月07日

メッセージリレー第9回 酒井有彩さん

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(1) ピアノの詩人、ショパンが残した名曲をマラソン形式でお客様にお届けるするという魅力溢れる企画に参加させていただけること、大変光栄に思います!今回はショパンの晩年の作品を弾かせていただけるということで、心引き締まる思いとともに、作品に宿る彼の心情と深く向き合えたらと思っています。

(2) 今回私が演奏させていただく作品は、ショパンの晩年の作品、子守歌とピアノソナタ第3番です。

◆子守歌 変ニ長調 Op.57
数々の傑作が生まれたショパンの晩年の黄金期…この作品は1843年、ショパンにとっても、サンドにとっても大切な友人が女の子を出産し、ノアンに滞在した際に作られたと言われています。ショパン自身がこの作品に「子守歌」と名付けました。ほとんど移り変わることのない低音部。その上に素朴で美しい4小節のテーマが、装飾しながら、とぎれることなく変奏されます。全てが夢の中のおはなしのような…ショパンの天才的な作曲技法がいかされた美しい作品です。

◆ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58
このソナタを作曲した1844年はショパンにとって生涯忘れることのできない年…春には父が亡くなり、すでにこの頃は彼自身の結核も進行していました。肉体的にも精神的にもとても辛い時期を過ごしていましたが、祖国、ポーランドを離れて以来、14年ぶりに姉ルドヴィカと再会を果たします。ショパンは生気を取り戻し、この作品に取りかかったと言われています。第一楽章の冒頭から凄まじい緊迫感に圧倒されます。対照的に、慰めの光にも感じられる平和に満ちた第2主題…。第ニ楽章は甘美なスケルツォ。中間部では静けさの中に、揺れ動く心の葛藤を感じます。決然とした序奏に始まる第三楽章。中間部では夢想世界、非現実的な美しい響きに心揺さぶられます。そして大ソナタに相応しい、激しい情熱を秘めたフィナーレ、華やかに幕を閉じます。

(3) 私にとっての初めての海外旅行はポーランドでした。全日本ピアノ指導者協会の創立者、今は亡き福田靖子先生とご一緒させていただき、初めて海外で演奏させていただいた時の記憶は今でも鮮明に覚えています。ショパンの心臓が眠る聖十字架教会や、ショパンの生家…当時小学三年生だった私にとって、目に映る全てが感動的でした。それまで遠い遠い存在だったショパンへの憧れがあふれだし、ピアノへの思いが一層強くなりました。ショパンの作品は長く勉強した作品であっても、初めて触れた時の感動が色褪せることはありません。勉強すればするほど、悩みは尽きず、もどかしい気持ちになりますが、やはりショパンの作品を演奏するとお客様に喜んでいただけることもあり、今では、コンサートで一番演奏させていただく機会が多い作曲家です。

(4) すばるホールで演奏させていただくのは今回で4回目です。ソロだけではなく、昨年はコンチェルトを演奏させていただく機会にも恵まれました。今思い返すと、このホールで演奏させていただいたプログラムは、私の生涯の大切なレパートリーになるであろう大切な作品ばかりです。いつも素敵な企画を考えて下さり、きめ細やかなサポートして下さるすばるホールのスタッフの皆さまに心より感謝申し上げます。続きを読む
posted by subaruhall at 19:07| Comment(0) | 日記

2017年11月30日

メッセージリレー第8回 今野尚美さん

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(1)このような素晴らしい企画に参加させていただき大変嬉しく思います。ショパンの作品と向きあう貴重な機会に感謝して練習しております。

(2)(3)正直に言うと私は子供の頃からショパンに近寄りがたい畏れのような思いを抱いておりました。永遠の憧れ、どこか遠く彼方にいる高次元の人...ショパンの作品のあまりの美しさに、おいそれとは人前で弾けない気持ちでした。巨匠たちがショパンを奏でる名演を聴く度に漂う高潔な響き、天才ゆえの澄み切った聖域をショパンの作品に感じていたからかも知れません。
しかしショパンはどこまでも優しく、日常の些細な感情まで表現するかのようにピアノに寄り添って聴く人の心に染み入ります。
(どんなに超越した人だったことでしょう!)

今回弾かせていただくのは円熟の極みとも言える詩的な作品の数々、ショパンにとっては「音」が「言葉」そのものだったのでしょうか、ショパンの音楽は上手く言葉で説明できませんが当日少しでも「音」で語れたら...と思います。
是非お越しくださいませ!

(4)初めてすばるホールで弾かせていただいたのは2008年でした。アウトリーチのコンサート活動で富田林市に滞在し、支援学校や小学校、プラネタリウム等でも演奏しました。実はその時のコンサートがきっかけとなり、ピティナともご縁が深くなりました。有り難うございます!
2015年には「ピアノファンタジー Vol.2」でピティナ・ピアノコンペティション受賞歴多数の素晴らしいピアニストの方々とご一緒させていただき、また地元のリトルピアニストの皆様とプロコフィエフの「ピーターと狼」を連弾したことも楽しい思い出です。

いつも温かくお見守りくださる「すばるホール」のご担当者様に感謝をこめて演奏しま
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posted by subaruhall at 14:38| Comment(0) | 日記

2017年11月29日

メッセージリレー第7回 水本明莉さん

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(1) ショパンの名曲が並ぶ素晴らしい演奏会の一端を担えることを、心から嬉しく思います。わたしにとっても思い入れの強いショパン晩年の名曲達を、聴いて下さる皆様と共有できますことを楽しみにしています。

(2) 演奏させていただく3曲はいずれも、ショパン晩年に書かれた傑作達です。

●即興曲第3番 変ト長調 Op.51
即興曲第3番は、彼の遺した4曲の即興曲のうち一番最後、彼の創作活動の最も充実した時期に書かれました。香り立つように移りゆく響きの中にゆらめく、優美で時に感傷的な旋律が美しい、ショパン自身も愛奏したといわれる作品です。

●3つのマズルカ Op.56
即興曲の完成から約1年後、自身が患う肺病により身体的・精神的に不安定になっていくなか、ショパンはマズルカ作品56を書き上げました。特徴的なリズムを有するポーランドの民族舞踊であるマズルカは、ショパンが最も大切にしたジャンルのひとつで、彼の生涯を通して50曲以上が遺されています。作品56は、詩的で表情豊かな第1曲、民族色が豊かに表れた第2曲、静謐で幻想的な性格の第3曲からなり、高貴な魅力に満ちた作品です。

●幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
マズルカと同じくポーランドの舞曲であるポロネーズは、小規模なマズルカとは対照的に、その多くがショパンの民族意識と芸術的志向を統合した大作に結実してきました。幻想ポロネーズ作品61は最晩年に書かれた、ショパン最後の大作です。当初は幻想曲として書かれていたこの曲は、5つの主題が回顧する自由な構成と夢幻的な楽想をもち、深い憂愁と、光を湛えたポロネーズのリズムを端々に散りばめながら、崇高な音楽世界の高みへと昇華していきます。

(3) ショパンはわたしにとって、ピアノを演奏することを、ひとり分の命を生きることのように感じさせてくれた初めての作曲家でした。ショパンの音楽に宿る儚く尊い美しさに触れるたび、彼の音楽は人生そのものだと感じます。

(4) すばるホールでさせていただいたコンサートが、わたしの初めてのソロリサイタルでした。お客様と関係者の皆様が見守ってくださる温かく素敵な空間で、大好きな曲を集めたプログラムを演奏した時の胸いっぱいの喜びを、今もよく覚えています。
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posted by subaruhall at 16:27| Comment(0) | 日記